災害が発生した直後の被災地では、電気や水道などのライフラインが絶たれている状況もある中で、行政や消防をはじめとした様々な機関・団体が、人命救助や道路・建物などのインフラの復旧にあたります。
また、各地から被災者支援のために集まる災害ボランティアの受入れを行うため、地域の社会福祉協議会などが災害ボランティアセンターを立ち上げます。
このような状況の中で、災害ボランティア活動をするにあたっては、事前の情報収集と活動準備をすることがとても大切です。
何も情報収集をせず、被災地の現状を知らずに現地に向かってしまうと、救助活動の妨げとなったり、道路の寸断による交通規制や交通機関の運休などで現地にたどり着けなかったり、現地に到着しても災害ボランティアを募集していない、ということもあります。
災害ボランティアが活動する際には、被災地に負担をかけないようにすることが基本です。軽装のまま軽い気持ちで被災地に入ってしまうと、かえって足手まといになったり、2次災害に繋がる危険性もあります。活動をするために必要な服装・装備で臨むとともに、気持ちの備えをしておくことも大切です。
事前準備1「情報収集」
まずは、正確な情報の収集から始めましょう。
把握しておきたい情報としては、以下の3つが挙げられます。
・ 被災地の状況の確認
・ 災害ボランティアセンターの設置の有無と災害ボランティアの募集状況の確認
・ 被災地までの移動手段とルートの確認
情報の入手方法
ニュースや新聞から情報を得るほか、被災地の自治体や社会福祉協議会のホームページなどで情報を入手することができます。
また、茨城県内で一定規模の災害が発生した場合には、このウェブサイト上に災害ボランティア支援の特設ページを開設しますので、災害ボランティアセンターに関する情報などを入手することができます。
なお、情報収集にあたって、被災地の自治体や社会福祉協議会に直接電話して個別の問い合わせをするのはできる限り控えましょう。職員の方々は様々な緊急対応をおこなっており、電話対応に時間を割かれると、重要な業務に手が回らなくなってしまう可能性があります。
ちなみに、茨城県では「茨城県災害ボランティア登録」を実施しており、登録された方には、災害時に災害ボランティアセンターの開設情報や災害ボランティアの募集情報などのメールが届きます。ぜひ、登録をお願いします。
※「茨城県災害ボランティア登録」の詳細はこちら。
災害ボランティアセンターに関する情報収集の留意点
◯災害ボランティアの募集期間(活動日)
災害ボランティアの受入れ・活動が毎日あるとは限りませんので、募集の詳細をよく確認しましょう。
◯災害ボランティアの受付場所と受付時間
災害の規模によっては災害ボランティアの受付場所が複数設置されることもあるため、自分が活動したい場所とそれに対応する受付場所をよく確認しましょう。
また、災害ボランティアの受付は午前中のうちにおこなわれるのが一般的です。受付開始時間などを確認し、間に合うように訪問しましょう。
◯災害ボランティアの活動内容
災害ボランティアセンターによって、募集している災害ボランティアの活動内容が異なります。希望する種類の活動内容を同センターが必ず募集しているとは限りませんので、募集している活動内容を確認しておきましょう。
◯災害ボランティアの募集対象の範囲
災害の状況や規模などに応じ、災害ボランティアの募集対象が「被災市町村の在住者」「県内在住者」といった範囲に限定する場合や、年齢制限を設けている場合がありますので注意しましょう。
◯災害ボランティアの受付方法
これまでは、活動したい当日の朝に災害ボランティアセンターを訪問し、受付窓口で受付をするのが一般的でした。近年では、災害ボランティアセンターの効率的な運営や新型コロナウイルス感染症が蔓延する状況下での密回避のため、Webによる事前申込方式を採用するところが増えています。
現地までの移動手段
現地までの移動手段は自分で確保する必要があり、移動に係る交通費も自己負担となります。被災地の交通情報などを調べ、どのような移動手段があるのか把握しましょう。
特に災害発生直後には(自家用車の走行が)緊急車両や災害復旧作業の妨げにならないよう、交通機関の利用をおすすめします。ただし、交通機関自体が被災して運休していたり、ダイヤが乱れていることもありますので注意が必要です。
自家用車で現地に向かう場合は、通行止めなどの交通規制に気をつけましょう。停電による信号機の停止や道路の陥没・ひび割れなど、日常とは異なる環境の中を走行することもあります。また、現地で停める駐車場の場所も確認しておきましょう。災害ボランティアセンターでは駐車スペースをある程度用意しているのが一般的ですが、場合によっては、センタ―から離れた場所に駐車場が設置され、そこからセンターまで無料送迎バスで移動するようなケースもあります。
ちなみに、災害ボランティア活動に向かう車両に対しては、高速道路の通行料を無料にする措置が適用されることがありますので要チェックです。(詳しくはこちらの記事をご覧ください。)
事前準備2「服装・持ち物」
自分のことは自分でやる。自己完結で動けるよう、事前に必要な備えをした上で被災地に入りましょう。
災害ボランティア活動をする際の装備は「多過ぎず、少な過ぎず」が基本です。食料や飲料のほか必要な装備品が被災地で入手できるとは限りませんので、事前に準備をしてから参加するのがベターです。
また、災害ボランティアの活動内容や活動時期によって、適した服装・持ち物が異なってきます。作業に必要なスコップなどの資機材は災害ボランティアセンターで借りることができますが、服装や装備類は持参することが基本です。状況に合わせた準備をしましょう。
服装(装備)の例
以下は、夏場の水害における泥出し作業を想定した服装(装備)のイラスト(一例)です。服装は、作業で汚れることを前提に考えてください。帰宅時のために着替えを用意すると良いでしょう。動きやすい服装を選び、特に夏場はたくさん汗をかくので、インナーには吸水性・速乾性のあるシャツ類をおすすめします。手足の肌が露出するような格好は、怪我をしてしまうので止めてください。冬場は、防寒着が必要な場合もあります。
靴は、現場で釘やガラス片が靴を貫通するのを防ぐため、できるだけ踏み抜き防止のついたものを用意しましょう。
持ち物の例
◯食べ物(昼食)・飲み物
特に夏場は、腐りにくいものを用意するとともに、熱中症にならないよう、水分や塩分のこまめな摂取を心がけてください。
◯救急用品・医薬品
絆創膏などの救急用品や、目薬・うがい薬、その他各自の常備薬など
◯雨具
作業用のレインコートなど。現場では小雨だと活動することが多いため、上下が分かれた雨具も便利です。
◯スマホ・タブレット及び充電器
茨城県内で設置される災害ボランティアセンターでは、受付での災害ボランティアの来所確認や、災害ボランティア活動終了後の結果報告を、Web上のフォームに入力していただく方式を取り入れているため、スマホやタブレットなどの携帯端末を持参してください。
◯貴重品類
財布(現金・カード類)、運転免許証、健康保険証・ボランティア活動保険加入証など
◯その他の各種小物類(必要に応じて)
ティッシュ・ウェットティッシュ、ゴミ袋、ミニライト・ヘッドライト、日焼け止め、メモ帖&ペン、虫よけスプレー、カイロ、ヘアゴム(髪留め)、工具類、簡易トイレなど
事前準備3「保険の加入」
被災地での災害ボランティア活動は、日常のボランティア活動と比べると、様々な事故による怪我のリスクが高まります。自分自身の怪我だけなく、誤って他のボランティアや被災者に怪我を負わせてしまったり、活動中に現場にある物を壊してしまうことも考えられます。
これらを補償する制度として、「ボランティア活動保険」がありますので、必ず加入するようにしてください。
保険料は、プランによって異なりますが、350円から加入できます。補償期間は最長1年間で、いつ加入しても、加入した年度末の3月までが補償期間になります。
(参考HP)ふくしの保険(「ボランティア活動保険」のページ)
ボランティア活動保険は、お住まいの地域の社会福祉協議会で加入することができます。被災地の社会福祉協議会が災害ボランティアセンターを運営している場合には、同センターの窓口で保険に加入することもできますが、被災者支援に尽力しているセンターの負担を少しでも軽減させるため、できる限り事前に、お住まいの地域の社会福祉協議会での加入をお願いします。事前に加入しておけば、被災地までの移動における事故についても補償対象となります。
なお、災害時に限り、インターネット上からボランティア活動保険にオンライン加入ができる場合があります。
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